これは医療や介護の関係者でも、あまり知られていない事実です。
私たち家族が直面した事実です。
医療と介護の縦割りが、こんな形で庶民に悪影響を及ぼしているという実情を知りました。
私の父は2月上旬くらいから徐々に体力がおとろえ、歩行困難となり、ついには上体を起こすこともできなくなり、2月15日に入院しました。
体力低下の原因は血中のナトリウム不足とのことでした。
検査の結果、幸い、他にはどこも悪いところはなく、脳にも異常はなく、点滴だけで、すぐに元気になってきました。
毎日リハビリをがんばっているので、いまは車いすから自分でベッドに移れるくらいまで回復しました。
でも、着替えたり、トイレに行ったりなど、身の回りのことはだれかに介助してもらわないとできない状況です。
でもこれは病気のせいではなく、高齢のため回復に時間がかかっているということなので、入院での治療ではなく、自宅介護か介護施設に入り日常生活が自分でできるようになるまで、リハビリをしながら徐々に戻していくしか方法がありません。
入院したその日に、主治医の先生から、歩けるようになって退院というのは難しいので、退院後どうするかを早急に考えるようにアドバイスを受けました。
父と母は二人暮らしなので、老々介護には限界があるため、もう少し自分のことができるようになるまで、介護老人保健施設と呼ばれるところに入ってもらうことにしました。
母に負担がかかるから、まだ自宅には帰りたくないという父の意向もあり、ケアマネージャーに薦められた介護老人保健施設に見学にいき、入所の手続きをお願いしました。
ところが、思いもよらない大きな障壁がありました。介護老人保健施設に入所している間は介護保険を使っているので、医療保険は使えないとのこと。
つまり入所期間中は、病院にかかれないんです。医療保険自体が使えないので、家族が代わりに薬をもらいにいくこともできません。
父は90歳という高齢ですが、認知症はなく、ぜんそく予防の吸入薬と昨年ガンを患い放射線治療した時の後遺症で口の中が荒れているため、月に一度口腔外科に行き、ぬり薬をもらっているくらいです。
父が使っている薬は一般的な薬ではないからという理由で、入所を断られてしまいました。
医療保険と介護保険の問題は制度上どうすることもできないそうです。
すべての介護施設がそうだということではありません。
父のように、認知症はなくリハビリ中心を考えている人が入る施設がそうなんです。
病気ではない元気な人が入るという理由から医療保険は使わないだろうという事らしいです。
結局、父は12日から2週間、ショートステイを利用することになりました。
これは自宅介護を基本として、何日間か施設に滞在することができるものです。
1か月に何日利用できるかは、介護度によります。
父の場合は寝たきりではないので、2週間くらいが限度です。
それを超えて利用する場合は、すべて実費になってしまうので、一日5万円くらいかかってしまいます。
認知症を含む何らかの病気で介護が必要な人が入る介護老人福祉施設は医療と介護の両方が利用できるので、そんな不便はありません。
でもそこはリハビリの先生がおらず、リハビリのメニュー自体がありません。
結局、父は来週の12日、病院を退院し、そのまま介護老人保健施設に移動します。
2週間のショートステイなので26日の午後には自宅に戻ってきます。
戻ってくる時期を決めるのに、父がどこまで回復しているかはまったく関係ありません。
それが利用できる限界の日数だからです。
4月になれば、また2週間利用できますが、それまでは自宅介護するしか、他に選択肢はありません。
日帰りのデイケアなどを利用しながら、自宅で介護するしかないんです。
有料老人ホームに入れられる経済状態の人は別だけど、介護保険を利用しても月に10~20万くらいは最低かかりそうです。
どんなに元気な高齢者でも、父のように、ちょっとした持病のひとつやふたつはあるでしょう。
父のように、ボケもせず元気で生きてきた人が、ちょっと体調を崩し、要介護になった時、行く場所がとても限定されるのは、おかしな話だと思います。
納得がいかない制度だと感じています。
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